超高濃度ビタミンC点滴療法のよくある質問
いいえ、この治療は健康保険は使えません。事前検査と超高濃度ビタミンC点滴療法に関わる全ての費用が自己負担となります。
現在日本ではビタミンC点滴療法等の情報の共有を中心とした点滴療法研究会(https://www.iv-therapy.jp)があり、医師向けの研究会を行っています。この研究会がビタミンC点滴療法の専門医制度を整えており、所定の講習と筆記試験に合格した医師に点滴療法研究会認定専門医証を与えています。
超高濃度ビタミンC点滴療法は通常よりも多量のビタミンCを投与する療法であり、正しい知識と手順に沿って行われるべき療法だと考えます。よって認定専門医の医師が常駐する医療機関での受診をお勧めいたします。
尚、丸善クリニックでは院長の早瀬喜正がビタミンC点滴療法の認定専門医を取得しており、日々最新情報の取得に努めています。
これまでに、乳がん、前立腺がん、肺がん、悪性リンパ腫、肝臓がん、大腸がん、すい臓がん、卵巣がん、膀胱がん、腎臓がん、子宮がん、多発性骨髄腫などに有効であるとの報告はありますが、まだ確立はされていません。効果には個人差もあります。
まずはご自身の状態を医師に伝え、ご相談いただくのが良いと思います。
ビタミンCはいうまでもなく私達の体にとって必須の栄養素です。ビタミンCは他の水溶性ビタミンと違い酵素の補酵素としての働きは知られていません。体の酸化を防ぐ重要な働きをつかさどっていると同時に、体の生命現象の色々な現象に深く関わっている重要な栄養素であるといえます。このビタミンCを摂らないでいると、まず壊血病にかかります。全身が出血し、関節が膨れ、筋肉痛がおき、下痢し、感染が起き、ついに昏睡となって死に至る恐ろしい病気です。1928年アルベルト・セントジェルジ博士によって純粋なビタミンCが分離され、博士は後にノーベル賞を受賞しました。
しかし「何の変哲もないビタミンCががんに本当に効くのだろうか?」と思われる方が多いと思います。実はビタミンCの生理機能についてはまだ分かっていないことが多いのですが、抗酸化作用、免疫賦活化作用、コラーゲン生成作用など、その働きや機能は40種類以上に上ります。現在ビタミンCに関する論文数は何と4万にも上り、おそらくこの様に研究されている栄養素は他にはありません。いかに研究者にとって魅力的な栄養素であるかがわかります。
免疫力を上げる
ビタミンCはリンパ球を活性化するのみならず、抗ウィルス作用のあるインターフェロンも増やすことが以前から証明されています。さらに細菌性の肺炎にもビタミンCは効きます。がんの人がもし肺炎などの感染症になったら、抗生剤の点滴とともにビタミンCの点滴を行えば、救命できる可能性が間違いなく増えます。風邪にも効きます。
コラーゲンを増殖させる
体のタンパク質の3割、骨の乾燥重量の半分はコラーゲンです。ビタミンCを点滴すると間違いなくコラーゲンが増えます。体がコラーゲンを作るために、ビタミンCが必須だからです、ビタミンC点滴によってコラーゲンが増殖すると、これががん細胞の周りをがんじがらみに固めて、がん細胞が飛び散らないように捕捉し、物理的に抑え込むと報告されており、”コラーゲンによるカプセル化”と言われます。
活性酸素を抑える
ビタミンCは抗酸化ビタミンですから、活性酸素を抑えます。これが抗がん剤の副作用を抑える働きにもなります。抗酸化作用のせいと思われますが、肌がきれいになります。普通は抗がん剤の副作用で肌が黒っぽくなる人が多いのですが、白くなってきます。
排毒作用がある
日本人のがんの背景には化学汚染があるといわれています。ビタミンCは体の汚染物質を尿から排泄させる力(キレート効果)が強いことがさまざまな研究で明らかにされています。
鎮痛効果がある
がんが進行するとかなりの確率で痛みがでてきます。ビタミンC点滴をしているといつの間にか痛みが取れてくる人がみられます。ビタミンCそのものに直接の鎮痛効果はないと思われますが、炎症を鎮静させる働きがあることによると考えられています。基本的には自然治癒力が上がることで、自然に痛みが落ち着いてくると思われます。
QOL(生活の質)が改善する
がんが進行すると元気がなくなりますが、ビタミンC点滴によって食欲が出てきたり、活力が出てきたりします。がんは長い闘病になるので、QOLがよくないととても前向きに闘う事はできません。
従来の抗がん剤は強い副作用が出やすいのですが、超高濃度ビタミンC点滴療法はほとんど副作用がありません。それどころかビタミンC点滴を一回体験する毎にたいていの患者さんは元気になってQOL(生活の質)が改善していきます。この点が最大の違いです。がんの3大療法(手術・抗がん剤・放射線)には弱点や限界があるので、それを補う意味で超高濃度ビタミンC点滴療法を同時に併用することもできます。
米国・人間機能改善センターでは、明らかに効果があるのは60~70%だと報告されています。 これはがんの種類も、超高濃度ビタミンC点滴療法を開始した時のがんのステージも、それぞれに異なる患者さん全てを対象にした割合です。
以下の症状がある方にはお勧めできません。
- 胸水・腹水・リンパ浮腫のある方
- 糖尿病でインシュリン注射を行っていらっしゃる方
- 頭蓋内腫瘍のある方
- 腎臓機能の低い方、現在透析治療中の方
- 脱水症状の方
- 病状が極端に悪化している方
- 活動型心不全のある方
- 現在抗がん剤(メソトレキセート、ベルケイド)を投与されて治療中、もしくは糖尿病でインシュリン注射を行っている方
がんの予防や治療以外にも、ビタミンCの強力な抗酸化作用により、アトピーの改善、乾燥肌の改善(保水力のUP)、メラニン生成の抑制(シミ改善・美白効果)、コラーゲンの生成促進(美肌効果)、皮脂の分泌コントロール、疲労改善、肩こりの解消、免疫力UPと美容(アンチエイジング)や生活習慣病にも高い効果が期待されます。
がん患者の方は抗がん剤使用のために肌が黒っぽくなる方が多いのですが、超高濃度ビタミンC点滴療法を行うと短期間に白くなり、肌がきれいになってきます。美白はこの副作用(福作用?)効果を利用したものです。
はい、可能です。抗がん剤治療など、ふつう他のがん治療との併用も問題ありません。
但し、現在抗がん剤(メソトレキセート、ベルケイド)を投与されて治療中の方は、超高濃度ビタミンC点滴療法をお受け頂けません。
超高濃度ビタミンC点滴療法で有名な米国・国際人間機能改善センター(The Center for the Improvement of Human Functioning International)では、これまでの15年間に3万件以上の超高濃度ビタミンC点滴療法を実施しています。このクリニックでは副作用によって死亡に至った例はありません。実際には殆ど副作用のない安全な治療だと言えます。
1例ですが点滴初日に腫瘍から出血を起こした事例の報告がありますが、大事には至っていません。このような腫瘍出血はこれまでの抗ガン剤の投与でも見られる副作用です。これを防ぐために初回はビタミンC12.5gから開始し、徐々に投与量を増加させます。
超高濃度ビタミンC点滴療法終了後の数時間は、簡易血糖測定器で測る血糖値が高値になります。これは見かけ上高いだけで、実際の血糖値はもっと低い値になります。したがって自己血糖測定をしてインシュリンの注射量を決めている糖尿病患者ではインシュリンの量に注意しなければなりません。 そのため、丸善クリニックではインシュリン注射を行っている方に超高濃度ビタミンC点滴療法を行っておりません。
またG6PD欠損症という赤血球膜の遺伝性酵素異常がある方(事前検査でわかります)、透析中の腎不全の方はこの治療を受けることはできません。心不全、大量の腹水、強い浮腫のある方は、点滴で水分を血管内に入れることで病状の悪化を来す恐れがあるためにこの治療ができない場合があります。
超高濃度ビタミンC点滴療法を開始する時点では週に2回の点滴注射が標準となります。抗がん剤や放射線治療と併用される方に対しても、あるいはこの治療法を単独でされる方に対しても、同じ回数で点滴治療を行います。
がんの腫瘍が完全に消失したという段階になったら、半年ほどは週1回の治療を続けます。その後は、半年あるいは3カ月ほど、2週間に1回、その次の段階では月に1回、といったように、だんだん頻度を減らしていきます。免疫療法や温熱療法等、他の治療法との併用も可能です。
治療の期間については、個々の症例によって変わります。
なお、効果には個人差があり、超高濃度ビタミンC点滴療法を受ける全ての方に効果があるわけではありません。症状や状態によっても異なります。
抗がん剤や放射線治療の副作用による吐き気で食事が取れない方、全身状態が低下していたりする方は、3回程度点滴を受けるだけでもかなり効果を実感して頂けるようです。
がん細胞を死滅させるという効果で見ると、明確にいつごろから効果があるということができません。病状には個人差がありますし、、抗がん剤や放射線治療と併用している場合には、それらが効いている可能性があります。ただ、ビタミンCの血中濃度が350~400mg/dlに達すると、強い抗腫瘍効果が発揮されることが研究によりわかっています。したがって、点滴によってそのレベルまで上げれば、がんを治す効果が出始める可能性が高くなるといえます。
ビタミンCの投与が再発を予防したという症例のデータはまだ多くありません。ただ、概念的には、再発の予防に十分役立つ治療法だと思います。
G6PDは赤血球の機能を保つための酵素です。G6PD欠損症は日本人には稀な遺伝性疾患ですが、日常の生活に支障がないために、これまで注目されませんでした。しかし、遺伝性G6PD欠損症の方に大量のビタミンC(12.5g超)の点滴をすると、重症の溶血性貧血を起こすことがあります。このような合併症を防ぐために、超高濃度ビタミンC点滴を受ける前は必ずG6PDの検査をし、安全に治療が受けられるかを判断します。
超高濃度ビタミンC点滴は栄養療法ですので、化学療法剤の点滴と違い主治医に必ず告げなければならないものではありません。超高濃度ビタミンC点滴は多くの施設で実施されていますが、点滴をうけていらっしゃる多くの方が特に主治医には告げずに受けていらっしゃるようです。
超高濃度ビタミンC点滴療法に関する参考書籍と文献
もっと詳しいことを知りたい方、自分発見をしたい方に、一読をお勧めします。
書籍名 | 著者 | 出版社 | 価格(税抜) |
---|---|---|---|
超高濃度ビタミンC点滴療法 | 水上 治 | PHP研究所 | 1,300円 |
希望の抗がん剤点滴ビタミンC---600の症例が語る | 水上 治 | 河出書房新社 | 1,500円 |
ビタミンCがガン細胞を殺す (角川SSC新書) | 柳澤 厚生 | 角川SSコミュニケーションズ | 720円 |
新ビタミンCと健康―21世紀のヘルスケア | 村田 晃 | 共立出版 | 1,700円 |
今、注目の超高濃度ビタミンC点滴療法 | 水野 芳春 | 日本文芸社 | 952円 |
日本一わかりやすいがんの教科書 | 水上 治 | PHP研究所 | 1,300円 |
著者 | タイトル | 掲載紙 |
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