尖圭コンジローム(ウイルス性・性病疾患第3位)
原因と感染経路
男性・女性にかかわらず、最近患者さんが急増しています。まれに小児にもみられますが、性活動期にある若者が大部分を占めます。
ほとんどが性交、あるいはその類似行為によって感染するヒト乳頭腫ウイルスの感染でできるイボの一種です。このイボができているときは性行為で他人に感染する可能性があります。
イボを処置してしまえば感染することはありません。
このウイルスは接触により皮膚や粘膜の微小な傷から進入し、基底細胞を含む分裂可能な細胞に感染します。感染後、視診で観察できるまでに3週~8ヶ月(平均2.8ヶ月)を要します。
梅毒にも類似した発疹が出来ることがあるので、梅毒血清反応も検査する事が望ましいです。
男性の症状
感染後、約3週~8ヶ月間の潜伏期間ののち発症します。
ペニスや亀頭部分の根元、包皮の内側部分や皮膚に小さいイボのようなものができ、ほおっておくと増殖します。ひとつひとつのイボがだんだん拡大し、褐色で不規則に増えていきます。痛みなどはあまり感じません。
肛門、直腸等、イボは放っておいても治らずに、どんどん増殖していきます。
肛門周囲や直腸にできたものは早めの肛門科受診をお薦めします。
女性の症状
感染後、約3週~8ヶ月間の潜伏期間ののち発症します。
小さいのイボ状のものが小陰唇の内側、大陰唇や膣口、肛門の周りにでき、膣内にも増殖して行きますが、多少の違和感を覚える程度です。症状が進行していくとイボ状のものが増えてカリフラワー状になり、外陰部全体が腫れあがります。そして、かゆみ・熱・排尿痛・性交痛・歩行時の痛みが症状として出てきます。悪性リンパ腫や膠原病等で細胞性免疫が低下した場合や、妊娠中に巨大となり治療が困難になる事があります。
女性の場合発見が遅れることが多いので、日本性感染症学会認定医による早期受診をお勧めします。
検査法
ほとんどは視診による臨床診断(見れば)で判断できます。
治療法
ウィルス疾患ですが、このウィルスを直接殺す薬はまだ見つかっていないので、できるだけ早く見つけて、性器にできるイボ状の新生物を焼灼するのが一般的な治療法です。局所麻酔で行いますが、痛みはほとんどなく、普通5~10分で終了します。
焼灼後、普通3~4日間で良くなりますが、イボが消えていればその後他人に感染する心配はありません。
また、治療には新たな外用薬(塗り薬)の選択肢もありますが、治療には最短で2ヶ月を要します。
体の抵抗力が弱ったときに再発の可能性はありますので、注意が必要です。潜在感染している可能性もあり、最低3ヶ月間は再発がない事を確認する必要があります。
また梅毒でも同じようなイボができることがありますので、梅毒にかかっていないことを確認する必要があります。
パートナーの治療
ペアでの検診・治療をおすすめします。なお、当クリニックには女性専用の待合室もあります。
パートナーも本人と同時に罹患(感染していること)が多く、現在は症状が見られなくても、数ヶ月後に新たに発症する危険性が高いので、パートナーの十分な追跡が必要です。
尖圭コンジロームを有する患者のパートナーのうち、3分の2は9ヶ月以内に感染をうけるとの報告があります。