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医療法人 正進会

丸善クリニック | 性器ヘルペス(ウイルス性)

性器ヘルペス(ウイルス性・性病疾患第4位)

原因と感染経路

原因と感染経路
図:東京慈恵会医科大学付属青戸病院 皮膚科 教授 本田まりこ 監修

性器ヘルペスは単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)または2型(HSV-2)の感染によって、性器が浅くただれたり、水ぼうそうのようなブツブツができる疾患です。セックスやオーラルセックスが主な感染経路です。

一旦感染すると、体内からヘルペスウイルスを取り除くことは出来ないため、再発する可能性があります。

現在の所性器ヘルペスの受診患者数は年間約7万2千人と推測されています(※1)が、日本人の5~10%が単純ヘルペスウイルス2型の抗体を持っていると考えられています(※2)。

  • ※1 熊本悦明ほか、日本感染症会誌 15,17 2004
  • ※2 川名尚、臨床と微生物 32,3 2005

男女別の症状

男性性器ヘルペス

性交渉あるいはオーラルセックス等の感染の機会があってから2~10日の潜伏期間ののち発症します。性器でも特に陰茎に多発性の小水疱が出現し、3~5日後には水泡が破れて潰瘍を作ります。

初感染では症状が強く、尿道にも病変が及ぶ事があり、痛みを伴い全身の倦怠感やそけいリンパ節の腫張や圧痛がでることもあります。又この潰瘍から二次感染といって他の菌が侵入し、粘膜下に炎症が拡大することもあります。

再発の場合は初感染の時より症状が軽くて済むことが多いのですが、病変のある間は性交渉でパートナーにうつす可能性が非常に高い、又男性の場合非常に再発がおきやすく、50%以上の人が3ヶ月以内に再発するといわれています。

女性性器ヘルペス

性行為の様な感染の機会があってから、2~10日くらいして外陰部の不快感、ときに掻痒感を感じているうちに、急激に外陰部の疼痛が出て、ときに歩く事もつらい、排尿できないぐらい強くなることがあります。

外陰部の所見として広範にわたって多数の浅い潰瘍(皮膚や粘膜がはがれて皮がむけた様になってくる)が両側の大・小陰唇にできます。さらにその潰瘍の周囲には、小さい水ぶくれが出来る事もあります。潰瘍の表面には死んだ細胞が黄色く付くこともあります。

ひどい場合には足のつけ根(そけい部)のリンパ節が腫れたり、発熱や頭痛、全身倦怠感等を訴えます。 稀な事ですが、ウイルスが髄膜の方に進んで、髄膜炎を発症したという例も報告されています。ウイルスが膀胱の方に入って排尿痛や頻尿のような膀胱炎の症状がおきることもあります。

いったん治っても再発(繰り返し水ぶくれや潰瘍などが出現する場合)はよくみられます。再発の場合はまず熱が出ることはなく、痛みも軽く、そけい部のリンパ節が腫張することもあまりありませんが、病変がある間は性行為によって相手にうつす可能性が高く、妊娠時に症状が現れた場合は注意が必要です。分娩時に産道で胎児に感染することもあります。

再発のきっかけははっきりしている場合もありますが、はっきりしていないことも多いようです。全身の免疫力が下がった時や、月経を契機として再発する場合があります。ひどい場合には月経の度ごとに必ず再発するという例もあります。

再発の回数ですが年をとるにつれて少なくなっていく傾向がある様ですが、年1回あるかないかという軽いものから頻繁に繰り返すものまでさまざまです。

性器ヘルペスは再発を繰り返すことが多く、患者さんの精神的な負担が大きい疾患です
性器ヘルペスは再発を繰り返すことが多く、患者さんの精神的な負担が大きい疾患です
図:早川謙一 JHIF記録集 75 1999

ヘルペスウィルスは症状が治まった後も体内からいなくならず、神経節に潜伏します。そのため風邪や過労、精神的ストレスなどで抵抗力が弱ったり、性器に刺激が加わった時に再発することがあります。そのため、患者さんは再発とパートナーに感染させることへの不安を常にかかえています。

アンケート調査によれば、患者さんが身体症状以外で最も苦痛に感じていることは、「再発を繰り返し、いつ治るのかわからない」ことでした。

また、パートナーへの感染や自分の子供への感染についても半数近くの患者さんが不安を感じています。

再発は初感染の時と症状は同じですが、症状も軽く、期間も短いのが特徴です。

検査法

さまざまな検査を組み合わせるのが一般的です。残念ながら、どの検査方法をとってもヘルペスウイルスを100%確定するものではないのですが、普通「血清抗体測定」を行います。

治療法

治療法
図:Reitano M, et al :J Infect Dis, 178,603 1998 より一部改変

「抗ヘルペスウイルス薬」を使用します。

この薬はノーベル賞をもらった画期的な治療薬で、大抵は5日間の内服とぬり薬の投与で治りますが、急性期でひどい場合には点滴療法も行います。

年6回以上再発を繰り返す患者さんに対しては、精神的苦痛を取り除き、他人への感染を予防するため、抗ヘルペスウイルス薬の継続投与による再発抑制治療が勧められています。(保険適用診療が可能になりました。)

1日1回の服用によりウイルスの増殖を抑え、再発の予防にとても効果があります。先に述べたとおり、ヘルペスウイルスは一旦感染すると体から取り除く事は出来ませんが、この薬による再発抑制治療で再発のリスクが格段に低下しました。もちろんパートナーへの感染も格段に減らすことが可能です。

性器ヘルペスのよくある質問

こわいというと、このウイルスが体に侵入するといずれ死に至るとか、がんになってしまうとかいうことだと思いますが、そういうことはありません。

初感染のときは痛みも強く発熱など全身症状が強いこともあってつらいことはありますが、再発のときは軽い症状ですむことが多いのです。

梅毒などではかかっていることを知らずに治療せずにいると将来神経や骨、そのほかの臓器も冒されて大変悲惨な状態になる事がありますが、その様なおそろしいことはヘルペスでは起きません。

確かに性器ヘルペスが増えているという報告がアメリカ、イギリスなどから発表されています。アメリカでは60年代に比べると10倍くらい増えているといわれていますし、イギリスでも最近毎年6%くらいづつ増えているなどという報告もあります。日本ではこれらに匹敵する様な詳しい統計がないのではっきりとした科学的根拠はないのですが、私のクリニックでも最近とみに増えてきているという印象を持っています。

増えた原因が何かということがよく問題になりますが、その第1の原因として特に欧米諸国などでは性の解放と自由な性活動が挙げられており、日本もその傾向があると思います。

第2にヘルペスで面倒なのは一度かかったら再度おきないのではなくて、その後によく再発がおきることです。

第3にヘルペスウイルスを完全に体の中から取り去ってしまうことができる薬剤がまだ開発されていないということもあります。 梅毒や淋病のような代表的な性病は抗生剤に感受性が高く、大体完治させることができますが、ヘルペスはそのような薬剤が全くないというところが問題です。

第4に避妊の為にコンドームを用いなくなっている傾向があります。コンドームは避妊効果と同時に性器と性器の直接接触を防ぐので、性病の感染予防に役立ってきました。ところがピル(経口避妊薬)が普及してコンドームを用いなくなったため、ヘルペスだけでなくあらゆるSTD(Sexually Transmitted Diseases/性行為感染症)が増加してきているといわれています。

以上のようないくつもの原因が重なって性器ヘルペスが最近増えてきているのではないかといわれています。

口唇にできているヘルペスを性器にうつしたという症例は知られています。しかし大部分が性交によってうつったものと考えていいと思います。

風呂やトイレでうつってしまうことはごく稀にあるかもしれませんが、一般にはほとんどないと考えてよいと思います。

ヘルペスはウイルスによっておきる病気ですから、性器ヘルペスができている時は相手にうつすことがありますのでセックスはやめた方がよいと思います。そして性器ヘルペスの症状が完全に治まってしまった時はセックスをしても構わないと思います。

又、相手の方に性器ヘルペスが出ている場合は同じ理由でセックスは避けた方がいいということになります。

どうしてもという場合は、もしペニスにだけできている場合ならコンドームを使えばある程度感染の危険性は減りますが、できている場所が陰茎だけでなく、陰のうや大腿部であったりするとコンドームだけでは防げないということです。

やはり性器ヘルペスのできているときはセックスは避けた方がいいと思います。

結婚生活で性器ヘルペスがどういう問題があるかということですが、まず性生活が可能かということだと思います。

この点に関しては性器ヘルペスの病変が出ていない時は性生活をもってもほとんど心配ないと思います。万が一相手方にうつしてしまっても、その相手が重大な病気になるというようなことは考えなくて良いと思います。

次に女性がかかった場合、子供が産めるかということですが、妊娠して健康な子供をもうけることは可能です。ただし妊娠中の管理をきちんとして、場合によっては帝王切開で子供を産ませる必要がある可能性はあります。

ヘルペスウイルスが下着に濃厚に付着している可能性があるなら、15分以上煮沸消毒するかアルコールで消毒して下さい。それから他の洗濯物と一緒に洗っても構いません。その後、日光にあてて十分乾燥させれば完璧です。

性器に症状が出ていない時は、このようなことは不要です。