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医療法人 正進会

丸善クリニック | 膀胱炎

膀胱炎

膀胱炎とは

女性に多く発症しやすく、急性の膀胱炎は抗生剤の使用で比較的簡単に治ることが多いのですが、ちょっと油断をしていると再発を繰り返しやすい病気です。

大きくは急性膀胱炎と慢性膀胱炎、そして新しい概念として間質性膀胱炎に分けられます。

急性膀胱炎

20~30歳代の若い女性に最も多く発症し、閉経前後の中高年期の女性にも比較的多い膀胱炎です。過労、睡眠不足、風邪、体の冷え、排尿の我慢、性生活などが誘因となることが多く、症状としては頻尿といって、さっき排尿したばかりなのに、またすぐトイレに行きたくなってしまう状態、また排尿の時、特に排尿時末に痛みがあるなどです。さらに肉眼的血尿になったり、尿が濁ったりすることもあります。その他残尿感、下腹部不快感・鈍痛、尿漏れなどがあることもあります。女性の膀胱炎の症状は、一般的に性交後36時間から48時間を経て起こるため、本人はこの両者の関係を自覚しない事が多いようです。

通常発熱はありませんが、38度を超える発熱、悪寒、腰痛がある場合は菌が腎臓の方まで入って行って腎盂腎炎を併発しているおそれがあります。軽い急性膀胱炎の治療には水分を多く取り尿の量を増やして頻回に排尿し、膀胱の中の細菌を洗い流すことが有効です。

一般的には原因菌に効く抗生剤を使って細菌をやっつけ早期の根治を目指します。20~30代の女性には仕事や日常生活でも現場への早期復帰が切実な課題であることが多く、その意味でも適格な抗生剤の内服は早期治療を可能にします。 ただし症状が治まった様に見えても自分だけの判断で薬をやめないことが大切です。細菌が完全に死滅していないと体調をくずすとすぐに再発してしまうからです。

急性膀胱炎の中でも新婚性膀胱炎といわれている膀胱炎があります。これをハネムーン膀胱炎ともいい、結婚によって環境が変わることが原因のようです。つまりセックスすることによってどうしても分泌物が尿道に入りやすくなり、その結果細菌が膀胱に侵入してしまうのです。

このハネムーン膀胱炎というのは時期がくれば大抵抵抗力もできて炎症が起きなくなってくることが多いのですが、膀胱炎にかかったらすぐに治療を受けることが肝要です。ほったらかしにしておくと腎盂炎になることがあります。ハネムーン膀胱炎の治療で気をつけてほしいのは膀胱炎は要するに尿道から細菌がはいるわけですから、セックスした後に必ず排尿して尿といっしょに菌を出すことです。また一度完治してもその後に何回も起こす様な方の場合は夜寝る前だけに抗菌剤を使うという方法があります。

膀胱炎ではなく性器ヘルペスでも強い排尿痛、排尿困難の症状が出てくる事があります。この場合は細菌を殺す抗生剤ではなく、ヘルペスに効く抗ウイルス剤を使います。性器カンジタ症においても排尿痛の症状が出る事があり、この場合は抗真菌剤を使います。

慢性膀胱炎

もともと尿路になんらかの病気(尿路結石、尿道狭窄、膀胱腫瘍、前立腺肥大症、尿道カルンクルなど)が原因で発症することが多く、これらの基礎疾患を治療しない限り治りにくく治療は長期化します。自覚症状はほとんどなくても尿検査などで膿尿や細菌尿が発見されることが多く、男女の区別なくみられるのが特徴です。

尿路の先天性奇形を有する幼少児でも発症します。

慢性膀胱炎の場合には何よりも膀胱炎を引き起こす基礎疾患をきちんと治療することが肝心です。基礎疾患の治療には長期間かかることが普通ですが、基礎疾患に対応した適切な薬物療法や手術療法を行って治療しない限り、膀胱炎そのものも治りません。

尿道カルンクルという外尿道口付近から発生する赤い小豆ほどの良性ポリープが見られる事があります。尿道の出口が赤く腫れて、排尿後のティッシュや下着に血液が付着する事で気づく事があリ、排尿痛や接触痛を伴う事もあります。大きくなると尿線の散乱や排尿困難を呈する事があリ、また、膀胱炎を繰り返す原因となる事があるため手術療法を勧められる事もあります。

間質性膀胱炎

尿が膀胱の間質(上皮と筋肉の間)にしみこんで慢性的に炎症を起こし進行すると膀胱が委縮していく病気です。

原因がいまだに不明で治りにくい膀胱炎ですが、中高年の女性に多く、男性や若い人でも発症します。昼夜を問わず何度もトイレに行く頻尿、尿意を感じるとすぐにトイレが我慢できなくなる尿意切迫感、残尿感や下腹部の圧迫感などが出ることが多いのですが最も特徴的なのは尿が溜まってくると膀胱部に不快感や痛みが強くなり排尿すると軽くなる症状です。膀胱や尿道だけでなくその周りや下腹部、腰、大腿部まで痛むこともあります。