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丸善クリニック | 超高濃度ビタミンC点滴療法が、なぜがん治療に効果があるのか

超高濃度ビタミンC点滴療法が、なぜがん治療に効果があるのか?

2005年9月、権威ある科学雑誌である『米国科学アカデミー紀要』に、ビタミンC点滴療法の画期的な研究論文が発表されました。

この論文は、米国国立衛生研究所(NIH)、米国国立がん研究所(NCI)、米国食品医薬品局(FDA)、アイオワ大学フリーラジカル・放射線研究部門に所属する8名のドクターや科学者が行ったもので、「ビタミンCは正常な細胞に影響を与えず、がん細胞だけを殺す、副作用のほとんどない理想的な抗がん剤である」という驚くべき内容のものでした。

正常細胞に害を与えず、がん細胞だけを殺す?

論文の証拠となった実験は、人間にビタミンCを静脈から点滴したときと同じ状態を、試験管内で再現して行われました。

通常、人間のビタミンC血中濃度は0.1ミリモル(血中濃度を示す単位)ですが、超高濃度ビタミンCを点滴すると0.3~20ミリモルまで上昇します。この際重要なことは、ビタミンCを点滴注射で血液中に送り込むという事です。多量のビタミンCを口から接種しても、血中濃度は0.22ミリモルを超えることはありません。

第一の実験は、9種類のがん細胞と、4種類の正常細胞をビタミンCの入った試験管内に1時間さらし、24時間後の結果を見たものです。

結果、5ミリモル以下のビタミンC濃度で、9種類のがん細胞のうち、5種類が50%死滅、その他4種類のうち、3種類のがん細胞はその増殖が99%抑えられました。驚くことに、正常細胞には全く影響がありませんでした。

第二の実験はビタミンCのがん細胞死に与える影響をより詳しく検証したものです。人間のリンパ腫細胞(がん細胞)を、0.1~5ミリモルの間の8段階濃度の中にそれぞれ1時間さらした結果、濃度が2ミリモル以上になるとがん細胞が100%死滅することが確認されました。

なぜビタミンCでがん細胞が死滅するのか?

超高濃度ビタミンCを血液中に点滴すると、まずビタミンCは血管の外にしみ出していきます。がん細胞は栄養となる糖を積極的に細胞内に取り込もうとしますが、ビタミンCはこの糖と非常に良く似た構造をしています。そのため、がん細胞はビタミンCを糖と勘違いして細胞内に取り込もうとするのですが、この過程でビタミンCが酸化され活性酸素(非常に攻撃力の強い酸素)の一種である”過酸化水素”が発生します。この過酸化水素ががん細胞を破壊、殺してしまうのです。

ではなぜ、正常細胞は破壊されないのでしょうか。

ビタミンCは酸化により過酸化水素という毒素と、酸化型アスコルビン酸という細胞の免疫力を高める物質に変化します。正常細胞の周囲では、ビタミンCが過酸化水素を発生させても、細胞内にある”カタラーゼ”という酵素により除去され、無害化されます。そして酸化型アスコルビン酸だけを取り込み、免疫力を強化していきます。しかし、がん細胞には毒素を無害化するカタラーゼ酵素がほとんどありません。そのため、過酸化水素という毒素に殺されてしまうのです。

つまり、「副作用が非常に少ない安全な抗がん剤」と言えるでしょう。

ビタミンCががんを殺す仕組み
ビタミンCががんを殺す仕組み

血管の外に滲み出たビタミンCががん細胞に取り込まれる過程で、過酸化水素が発生し、ガン細胞を殺します。正常細胞の周囲では、カタラーゼと呼ばれる特殊な酵素によって過酸化水素は除去されます。

どのようながんに効果があるのか?

これまでの研究や報告から、多くのがんに効果があることがわかっています。

  • ・脳腫瘍
  • ・肺がん
  • ・胃がん
  • ・大腸がん
  • ・すい臓がん
  • ・肝臓がん
  • ・膀胱がん
  • ・腎臓がん
  • ・乳がん
  • ・前立腺がん
  • ・卵巣がん
  • ・子宮がん
  • ・悪性リンパ腫
  • ・白血病
  • ・その他多くのがん

手術、抗がん剤、放射線治療が有効ながんの場合は、まずそちらを優先しますが、超高濃度ビタミンC点滴は副作用が非常に少ない安全な治療法であり、併用もおすすめします。

但し、抗がん剤(メソトレキセート[Methotrexate]、ベルケイド[Vercade])を現在投与されて治療中の方は、超高濃度ビタミンC点滴療法をお受け頂けません。

超高濃度ビタミンC点滴療法は、同じ部位のがんでもその効果には個人差があります。またがんの縮小効果だけでなく、生活の質(QOL)の改善や延命、標準的ながん治療の副作用症状の軽減など、がんの補助療法としても用いることができます。

参考文献
高濃度ビタミンC点滴療法のがん患者QOLに及ぼす効果/Takahashi H et al. Psersonalized Medicine Universe 2012;1:49-53

高濃度ビタミンC点滴療法のがん患者QOL(生活の質)に関する前向調査研究

調査の概要
実施組織 点滴療法研究会 145施設
対象 初回高濃度ビタミンC点滴療法のがん患者60名
平均年齢 61±1歳 男34 女26
肺がん14 乳がん8 胃がん8 大腸がん6
肝臓がん3 子宮・卵巣がん7 膵臓がん2
前立腺がん3 悪性リンパ腫2
QOL評価方法 高濃度ビタミンC点滴療法の前、2週、4週後にEORTC QLQ-30 でQOLを評価
高濃度ビタミンC点滴の方法 週2回の点滴

高濃度ビタミンC点滴療法のがん患者QOL(生活の質)に関する前向調査研究

Values are mean ±SD. *p<0.05 and **p<0.01 from before IVC.(Wilcoxon signed ranks test)
自覚症状尺度 2週後 4週後
疲労 42.4 ± 28.7 31.8 ± 25.3** 28.4 ± 25.7**
嘔気・嘔吐 8.9 ± 22.1 9.3 ± 20.6 7.6 ± 17.6
痛み 17.8 ± 25.7 13.8 ± 23.6 10.0 ± 13.9*
息苦しさ 27.2 ± 29.8 23.2 ± 27.2 16.4 ± 23.7
不眠 31.1 ± 32.1 23.2 ± 27.2* 16.4 ± 23.7**
食欲不振 26.1 ± 36.4 30.5 ± 32.9 20.5 ± 28.0
便秘 21.1 ± 31.3 13.6 ± 22.4* 11.7 ± 22.3*
下痢 10.7 ± 24.3 9.2 ± 19.5 10.1 ± 20.0
経済的影響 34.5 ± 32.1 26.4 ± 29.8 26.2 ± 28.2*

高濃度ビタミンC点滴療法のがん患者QOL(生活の質)に関する前向調査研究

「非常に良くなった」「かなり良くなった」「少し良くなった」を合計すると2週では47%向上し、4週では60%向上したとの結果を得られた。
主治医の印象 2週 4週
非常に良くなった 1 (2%) 1 (2%)
かなり良くなった 5 (8%) 6 (10%)
少し良くなった 22 (37%) 29 (48%)
変化なし 30 (50%) 21 (35%)
少し悪くなった 2 (3%) 3 (5%)
かなり悪くなった 0 (0%) 0 (0%)
非常に悪くなった 0 (0%) 0 (0%)

結語

  1. 総合的健康度/QOL尺度のスコアは、高濃度ビタミンC点滴4週間後に45±28から61±24に改善し(p<0.01)、さらに感情機能、認識機能、社会的機能が改善(p<0.05)、疲労、痛み、不眠、便秘、経済的影響のスコアが有意に改善した。(p<0.05)
  2. 主治医は高濃度ビタミンC点滴療法後に、60%の患者でQOLが改善したと評価、不変35%、悪化5%であった。
  3. 高濃度ビタミンC点滴療法は安全かつ効果的にがん患者のQOL改善をする。